道路上の列車レストラン ボゴウォントグルメセンター

インドネシアのジャカルタから列車で東に約640㎞、鉄道車両が生まれる街、マディウンに行ってきました。マディウン駅からバイクタクシーで10分ぐらいのところに、ボゴウォントカリナリーセンターという、道路上に鉄道車両が置かれた列車レストランがあります。
インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
ボゴウォントは通りの名前で、この通りには1980年代までマディウンから南に約30㎞離れたボノロゴ間を結ぶ鉄道が通っていました。2022年に廃線跡を観光目的に活用するためにアスファルトで埋められていた線路を120mほど掘り起こして、INKAからレストラン用鉄道車両を搬入し、一帯の整備が行われました。当初は製糖工場の蒸気機関車を置く計画もあったようですが、結局搬入されたのが、INKAの在庫車両でした。車両の内訳はHolecAC先頭車2両、パノラマ客車のモックアップ1両、高速試験車1両、貨車1両の計5両でした。
改造からすぐに運用離脱してしまったレア車両HolecACを見て乗れるのはここだけです。

夜はライトアップされて映えますので、夕方から夜中にかけていくのが良いでしょう。

HolecAC

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
通りの両端、北と南にHOLEC ACが留置されています。冷改電気鯰。
写真は北側に設置されているHolecAC。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
床下機器は撤去されて家庭用エアコンの室外機がぶらさがっていました。
北側は軌道の掘り起こしが足りなかったのかレールがありません。アスファルト舗装に車輪を転がしたため二本の溝ができています。雷都のトラムの現場も溝ができていましたね…

HolecAC インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
写真は南側に設置されているHolecAC。こちらはレール上に乗っていました。
でもアスファルトには搬入時にできたと思われる溝ができています。

HOLEC AC インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
車内はEKSEFTIFの座席とデーブルが設置され、リゾート21のような配列になっています。向かい合わせと横並びの座席があります。
冷改時に設置された冷房装置は撤去され、新たに家庭用エアコンが設置されました。二回目の冷改ですね。
温度設定は16℃になっており冷え冷えのディンギンでバグースでした。
乗務員室には扉がビス止めされていて立ち入りできなかったのですが、ガラス越しに運転台を見ることができました。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
車両後方の貫通路付近は仕切りが設けられ受付のような窓口が設けられていたり、流し台が設置されていました。バックヤードとして使用されていました。
車内のドア横にはKCJ時代の路線図が残っていました。冷改後はタンゲラン線でわずかな期間だけ走っていましたね。
設計が甘かったのか改造があまりよろしくなかったのか分かりませんが後にINKAに返却されました。

KRL EKINOMI BN-HOLEC BNホレック電車
これは2011年に撮影した非冷房のEKONOMI電車として活躍してHolecで、鯰のような表情でした。
改造前のHolecも調子が悪く故障車が多発していました。
廃車後はプルワカルタやパシルブングルで積み上げられて電車団地になっています。

パノラマ客車モックアップ

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
パノラマ客車モックアップです。KAIでは深緑色の大窓のパノラマ客車が導入されましたが、既存客車からの改造で新製されることはありませんでした。
車両の反対側にはプラットフォームのようになっていて、屋根とテラス席が設けられています。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
小窓部分から紹介します。EKONOMIの簡リク座席とテーブルが設置されています。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
仕切りの先、中央部の大窓部分はソファー席とオットマン付きのリクライニングシートの組み合わせ。大きな窓から見えたのは商店の店先でしたが、座るならここがいいですね。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
天井部分にはサフィール踊り子のように天窓がついていました。天窓撮影時は夜間になっていたので真っ黒で分かりづらくなってしまっています。

貨車

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
貨車はステージとして使えそうですね。歩道側にはステージ幕が取り付けられそうな枠が取り付けられています。
台車は仮台車をつけていました。

高速試験車 FUDIKA

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湘南色のような配色になっていました。荷物車的な雰囲気を醸し出しています。
高速試験車として使用されていたこの車両はボルスタレス台車を履いています。

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デッキから中に入る扉には鍵がかかっていました。車内の奥では従業員らしきおじさんががスマホを見ながらくつろいでいました。
HolecACと同じくEKSEFTIFの座席が使われています。
画像左にガルーダマーク付きの真鍮のプレートが付いているのが気になります。試験車時代から付いているものなのでしょうか。

ボゴウォントカリナリーセンター

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
黒の警備員詰所はトラムを模したつくりになっていました。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
道路に鉄道車両とINKA製のコンテナ屋台が置かれています。商店の壁画は一帯の整備の際に描かれました。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
車両の外観をしっかり撮影しておきたかったのですが、雨が降ってきてしまい中断。車両の中に避難し、通り雨を期待し待機するも一向に止まず。あたりは暗くなり、ライトアップが始まりました。
それまで客は全くいなかったのですが、客車の中で雨が止むのを待っていると、悪天候にもかかわらす何組か来店し、注文した料理が届けられてきてさすがに腹が減る。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
一番人気のお店で頼んでみることにしました。肉食べた?書いてあるスタンドPOPが店の横にあります。
マディウンでステーキ店をやっている店がここに出店していました。
他のお客はクリスピーチキングリルという衣を付けた鶏を鉄板に乗せた料理を頼んでいましたが、昼がソロのCFCだったので、おすすめを聞くとTボーンステーキとのことで注文。どの客車で待っているか伝えれば席まで持ってきてくれます。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
注文から30分後到着。結構長かった。
肉はオージービーフで柔らかくてジューシーでおいしいかったです。鉄板に乗っているから熱々でした。付け合わせはミックスベジタブルとポテトのホイル焼き。芋もホクホクでおいしい。ソースは少し甘めでしたので、ナイフとフォークに添付されていた塩コショウで食べました。またサンバルも付いており、ステーキとサンバルという組み合わせがイケることを発見。日本に帰ったらやってみましょう。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
帰りの夜行列車の時間が近づいてきたので最後に写真を撮りました。
止むかと思っていた雨は止むことなく強さを増し、遠くから雷鳴も聞こえてきました。

インドネシアマディウンの列車レストラン ボゴウォントカリナリーセンター
この雨でところどころ冠水していたので、行きで使ったバイクタクシーは無理なので、車を手配。
マディウン駅に向かい座席夜行急行列車でパサールスネン駅へ向かいました。